大聖院改元奉納での3つの作品は、
字も言葉も、
全く雰囲気の違うものになりました。
まずは真ん中から。
昇龍に書いてある言葉は、
『龍』と、『如意宝珠』です。
如意宝珠とは、意のままに願い事を叶えてくれる宝の玉で、
中原さんの描いた龍が持っている玉がそれにあたります。
いつもお世話になっている、
京都大学名誉教授の阿辻先生によると、
『令和』は、漢文調にすると、
『和たらしむ』とも読めるそうです。
先生の、
「世界が調和され、
平和が永遠に達成されるというメッセージが
込められているのではないか。」
というお話を聞き、とても感動したこともあり、
皆が、平和と真剣に向き合い、
世界中が平和な時代にしていきたいという思いを込めています。
そして、力強い龍に合わせて、力強い字で、
新しい時代への希望と、明るい平和な未来を切り開くパワーを表現しました。
お地蔵さんタワーは、両サイドに1つずつありました。
1つには(写真右)、
『人間は誰もが胸のなか宝石となる石を持っている
一生懸命磨いて美しく光り輝く玉になる』
と書いてあります。
これは、大聖院を開基した空海の言葉です。
明るく平和な時代を、ただ待つのではなく、
自らも努力することで、
より良い時代を迎えようという思いを込めて、
大聖院にゆかりのある空海の言葉から、
この言葉を選び、書かせていただきました。
もう1つのお地蔵さんタワー(写真左)には、
『笑門来福』と、
『Loughter is the Key to Happiness.』
という言葉を書いています。
笑門来福は、笑う門には福来るという意味です。
より多くの方に、この言葉を届けるために、
英語で、笑門来福にあたる言葉を書きました。
笑門来福と同じような意味を持つ言葉は、
英語でもいくつかあるようですが、
お地蔵さんタワーの笑顔の雰囲気から、
『Loughter is the Key to Happiness.』を選びました。
日本だけでなく、世界中の人が、
笑いの絶えない明るい毎日をおくり、
幸せで平和な時代にしようという願いを込めています。
三者三様。
それぞれ選ぶ言葉も、書の雰囲気も違いますが、
目指すところはみな、同じだったのではないかと思います。
これは、普段の書道教室でも同じです。
講師はそれぞれ、キャラクターも得意分野も違いますが、
書の楽しさ、面白さを、
一人でも多くの人に知ってもらいたいという思いは、
どの講師にも通じていることだと思います。
いつもは見ることの出来ない講師陣の姿を見るのも、
これまで、教室に通ってきてくれた生徒さんにとっても、
刺激的なイベントだったのではないでしょうか。
素晴らしい場所で、
パフォーマンスをさせていただいたという事はもちろんのこと、
書道で扱う文字は、記号ではなく、
意味を持つ文字や言葉だと考えている私たちにとって、
令和最初の日に、
思いや願いを込めて、
書のパフォーマンスをすることが出来たというのは、
とても嬉しく、ありがたい事でした。
Yukiko